映画・演劇

大人のための演劇集団「楽塾」

アジア各地の若者の価値観・流行・消費スタイルを浮き彫りにしていくこのコーナー。
 先日ご紹介したように韓国では今、テハンノを中心に小劇場演劇が盛ん。ところで日本でも、60年代から80年代にかけて小劇場演劇ブームがありました。アングラ演劇とも言われる当時の小劇場演劇は、今でも多くの若者に影響を与えています。
  今回は、第二次小劇場演劇界のリーダーであり、97年に大人のための演劇集団「楽塾(らくじゅく)」を立ち上げた流山児祥さんにお話を伺いました。常に「世界演劇の地平」を目指し、日本現代演劇の最先端を疾走し続ける流山児さん。そんな流山児さんから福岡・アジアの若者への、大人になるためのメッセージとは?


『人形の家』 (2006年、北京)
3月に北京公演から戻られたばかりですが、これまでのアジア公演で印象に残っていることは?
-- 色んな意味で全て印象深かったですね。日本よりもこの人たち演劇を必要としてるんだなと思ったのは、終わったあと役者つかまえて演劇についてああだこーだと熱く語りますよね。
「世界演劇の地平」を目指されている流山児さんですが、作品作りにおいて大切にされていることは?
-- 世界中どこへいっても受け入れられる表現かどうかだね。日本でしか受け入れられない方法じゃ絶対だめだ。それはやっぱり僕らの演劇に対する想いだよね。プロっていうのは偉大なるアマチュアでなきゃいけない。つまり商品化されるっていうよりも、こういうものを見せたいんだっていうそこではアマチュアでなきゃいけない。

『人形の家』 (2006年、北京) 

『人形の家』 (2006年、北京)
日本の演劇についてどう思われますか?
-- 日本の演劇っていうのがもしもあるなら、色んな演劇とか色んなものをこう吸い取って、新しいかたちの演劇を作ろうとしてる長い歴史だと思います。少なくとも俳優っていうのは、もともとは訓練された存在ではないんですよ。色んなものを見ながらごっちゃになって作られたものなんですよ。
日本演劇界のシステムについてどう思われますか?
-- 日本は国立の演劇大学や劇団がない世界でも珍しい国なんですよ。こんだけ文化がすごいっていいながらも。つまりそれを遅れてるって呼ぶか、なんと呼ぶか。歌舞伎もそうですが、もともと演劇っていうのは民衆から始まったものですよね。そう考えると、必ずしもアメリカやヨーロッパの演劇が上ということではないんだと。世界にはいろんな芸術があるしいろんな舞台があるわけですよ。


『無頼漢』
(2006年7月上演予定)  


流山児さんが演劇活動において一番やりたいことは?またアングラ演劇の魅力は?
-- 一番やりたいのはやっぱり、おこがましい発想だけど人が変わってくれるっていう。人と出会って変わるっていうことが、アーティストの根源だと思うんですよね。アングラ演劇の唯一すごいところはライブだと思うんですよ。ライブ感。それはそこでちゃんと生きようというエネルギーですよね。
「楽塾」結成のきっかけとコンセプトをお教えください。
-- 50代に突入するとき、自分と同世代の連中と芝居がやりたいなと思って。どんなこと感じてるんだろうって。コンセプトは単純に、一緒に遊んでみたら面白いものが作れたと。演劇はもともと誰でもできるしどこでもできるんですよ。


楽塾第一回公演『水色の雨』 (1998年)
大人のための演劇とはズバリ?
-- うーん、子どもは生まれたときから死に向かっていくわけで、人は死を想ってないと生きていけないじゃないですか。つまり演劇はね、メメント・モリじゃないけど死を想えっていうことをずーっと教え続ける芸術なんだと思う。だからそういった意味では大人の演劇なんてありえないんですよ。
流山児さんにとって大人と子どもの違いとは?
-- 大人になるっていうことは訳知りになるってことでしょうね。でもそれはならないほうがいいと思う。正しいと思うことはちゃんと言い続けなきゃいけないしやり続けなきゃいけない。そういった意味では僕なんかはずっと子どもなんだろうね。


楽塾第二回公演『かもめが翔んだ』 (1999年) 

楽塾第三回公演 『Tokyo BLUES?愛と官能の日々?』 (1999年) 
現代における演劇の意義についてどう思われますか?
-- 芝居を観て、人は死ぬとこうなるんだとか、人間てどんなものかっていうのが分かればいいわけじゃないですか。テレビじゃ絶対できないもん。生でそこで決断をしてるんですよ。だって現代人は人が決断する瞬間をほとんど見てない。
人間100パーセント死ぬんだったらちゃんと人と会って変わって色んな才能とかを見つけたほうがいい。つまり人間って色んな才能とか色んなものを持ってるんだってことを教えるのが演劇だと思う。
流山児さんにとって良い芝居とは?
-- 役者っていうのは人の時間を盗むわけでしょ。お客さんの時間を盗むっていうことは、一緒に呼吸してくれるお客さん。一番いい芝居っていうのはやっぱりお客さんと一緒に呼吸できてるんですよ。あと、こういう芝居しかできないっていうのをなるべく減らす。


第五回公演『雨に咲く花』
(2001年)

『楽塾版☆十二夜』 
(2006年4月28日上演予定)
どんな人に舞台を観てもらいたいですか?
-- その辺歩いてる人でもふらっと入ってくれれば一番嬉しいです。「楽塾」は芝居を観たことない人に観て欲しいね。普通の人がやってるから。



流山児祥(SHOW RYUZANJI)さんプロフィール

■本名■ 藤岡 祥二 ■生年月日■ 1947年11月2日さそり座・O型 ■出身地■ 熊本県荒尾市 ■最終学歴■ 青山学院大学経済学部中退 ■特技・趣味■ 酒・映画・読書・散歩 ■サイズ■ 身長/173?体重/68?■現在、流山児★事務所代表。芸術監督。演出家。劇作家。俳優。日本演出者協会副理事長。